第2章 中編
悲鳴の声を頼りに2人が辿り着いたのは牢獄だった。
中に閉じ込められている多数の若い男女。
唸るように苦しんでいる人、発狂している人、魂が抜けたように茫然としている人と症状は様々だった。
「…ひどい」
ユーリ檻越しに彼らに声を掛けたが、全く反応がない。
ユーリは眉をひそめ暫く彼らの様子を見ていた。
すると、全員首の横辺りに魔法陣が書かれているのに気づいた。
更には魔法陣の中央にある穴のようなもの。
あれは一体何なのだろうか。
「…おい、人が来る。移動するぞ」
ローはそんなユーリの様子を黙って見ていたのだが、人の気配を感じたのか、再びユーリを抱き上げて移動した。
そして移動を繰り返している内に辿り着いた、実験室のような場所。
人の気配があったので2人は離れた場所に身を潜めた。
「…あそこの通気口、私なら入れそうかな」
実験装置の真上にある通気口のような場所。
あそこに行けばバレずに中で何が行われているのか分かるかもしれない。
ユーリはローにお願いして移動してもらうことにした。
背の高いローは窮屈だろうだから、ユーリだけで向かうつもりだった。
ユーリのその言葉に少し渋った様子のローだったが、ため息を吐くと能力を発動した。
「危険なことはするなよ。何かあれば呼べ」
ローはユーリを移動させると、一度刀の中に戻った。
ユーリはそんなローにお礼を伝えると、そっと通気口から見える下の部屋の様子を伺った。