第2章 中編
ROOMを使い一瞬で建物の中に入った二人は、身を潜めながら中の様子を伺った。
それなりに大きな建物だけあって、人の気配が多い。
暫く建物内を見つからないよう徘徊していたのだが、埒が明かないと思い夜まで待つことにした。
「…やっぱり、ここにいる人たちって操られているのかな?」
ユーリとローは人気の少ない倉庫に身を潜め日が暮れるのを待っていた。
ここに来る途中見かけた実験装置のようなもの。
そこには多くの若い人たちが入れられていた。
なんの実験しているのか、それは言われなくても察することができた。
「さぁな。どうみても普通じゃねぇとは思うが」
ローは相変わらず興味がなさそうな感じだ。
2人の間に沈黙が落ちる。
その間、時折聞こえてくる悲鳴やうめき声のようなもの。
ユーリは厳しい表情を作り、落ち着かない様子で何かを考えているようだった。
「…この声、近くに閉じ込められている人がいるのかな」
ユーリはそう言うと立ち上がり、耳を済ませた。
本当は今すぐにでもその場に走っていきたいのだろう。
なぜ他人の為にそこまでするのか理解できないローは、そっとため息を吐いた。
そしてだんだんユーリがローから離れて行動し始めたので、ローはそんなユーリを捕まえると再びROOMを発動した。
何だかんだで彼女に付き合っている自分もどうかしている。
さっさと礼拝堂に引きずってでも連れて行けばいいのに、それが出来ないでいる。
過去の自分ならそうしていたはずなのに。
ローは眉間にシワを寄せると、何度か移動を繰り返し悲鳴が聞こえる場所へと向かった。