第2章 中編
ローはそんなユーリから視線を外すと、視線の先に大きな建物が見えた。
「で、おまえはどうするつもりなんだ?」
ローは施設に向かいながらユーリがどうするつもりなのか、一応聞いておくことにした。
「…え!?…えっと…取り合えず誘拐が本当ならその人達を助けたいです」
急に話しかけられ一瞬驚いたユーリだが、何時の間にかローの不機嫌オーラはなくなっていた。
一体何だったんだと思ったが、目的の施設が近づいているので慌ててこれからのことを考えた。
「…それはおれに、攻撃してくる奴を殺さないように手加減しつつ、犯人を見つけろってことか?」
攻撃してくる奴、それは誘拐された人たちだろう。
施設に近づくにつれて感じる異様な空気。
ローの言葉に、すいませんと謝ってくるユーリ。
どう見ても面倒くさそうな事案だ。
それをあの英霊に頼むのだから、ユーリの肩身も狭い。
だけど、何だかんだでユーリに付き合ってくれる彼。
ユーリはそんな彼に感謝しつつ、施設の入り口付近に立っている人たちへ視線を送った。
まだ離れているためこちらに気づいた様子はない。
だけど、どう見ても彼らの様子はおかしかった。
人のようで人ではない。
直立不動で動く気配のない、若い彼らを見てユーリは眉をひそめた。
「戦闘は極力避ける、一気に移動するぞ」
ローもそんな彼らの様子に気づいたようで、ユーリを抱え上げるとROOMを発動した。