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英霊の刀【ONE PIECE 】

第2章 中編



ズルズルと引きずられるように城を後にしたユーリ。

取り合えずローの動きを止めると、礼拝堂の場所だけ情報を集めることにした。

適当に街中を歩いている人に声を掛けてるユーリを、ローはまだ不機嫌そうな表情で見ていた。

ユーリは背後から感じる痛々しい視線に顔を引きつらせながら、色々な人から話を聞いていた。

そして礼拝堂の情報は、ここら辺でも有名なようで直ぐに場所が分かった。

「…もしかしてあそこに行くの?…止めておいた方がいいと思うけど…」

そう言って心配そうな声を掛けてくれたのは、40代くらいの女性だった。

どこか悲しそうな表情の女性から詳しく話を聞いてみると、信じられない事実を知った。

「人工の杖?」

どうやら礼拝堂の近くには、魔法学校に行かなくても魔法が使えるようになる実験をしている施設があるらしい。

魔法学校に入るのが困難なためか、何時の間にかそんな施設が出来ていたようだ。

そしてここ数十年前から行方不明になる子供達。

何度か国が調査の為に施設に向かったのだが、生きて帰ってきたのは数名だけだった。

どうやらあの施設には、魔法を使える人物が多くいるようで、調査に送り込まれた兵士たちはほとんどが殺されてしまった。

何とか生きて帰って来た兵士から話を聞くと、人工で作られた杖を操る若い男女の姿が多数目撃されたとか。

皆、洗脳されてるのか操られているのか、その目には生気が宿ってないようにも見えたらしい。

人工の杖、そしてその杖に宿っている得体の知れないもの。

もしかしたら、誘拐された子供たちは実験と言う名の酷い扱いを受けているのだろうか。
実際に学校にいたユーリだからこそ分かるが、魔法が使えるようになるためには素質や訓練等様々な課題がある。

そして人工で作られた杖など、本来はありえない話だ。
それを使うのに一体どれだけの負担が身体にかかるのか。



因みにこの話をしてくれた女性の娘も、数年前から行方不明になっているらしい。

ユーリは複雑な表情を作ると、もし娘さんを見かけたら絶対に連れて帰って来ると約束した。

女性は国でも無理だったことなので、あなたが気にする必要はないと、どこか悲しげな笑みでやんわりと断ってくれた。


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