第2章 中編
「ようは、それなりの対価が欲しいってこと」
金髪の男はそういうや否や、何故かユーリへと視線を向けてきた。
「彼女から、美味しそうな魔力の香りがするんだよね。だから礼拝堂への手配をする代わりに味見させてよ」
卑しく笑う金髪イケメンに、ユーリの思考は一瞬フリーズする。
「い、いや私は…」
「こいつには魔力はねぇ。ごちゃごちゃ言ってねぇで早く礼拝堂へ案内しろ」
ユーリが口元を引きつらせながら言葉を発しようとすると、ローが代弁してくれた。
なぜだろうか、ローの機嫌が悪くなってる気がする。
「魔力がない?へぇ?そうなの?」
ローの言葉に少し驚いたような表情を見せた男だが、すぐに口元を吊り上げ笑みを浮かべた。
「魔力がない奴は初めて見たけど、他の補充方法、俺が知らないとでも思った?…ってことで国王、礼拝堂への案内の条件は彼女から生気を貰うってことでいいでしょ?」
そう言うや否や、スタスタとユーリの元へ向かってくる彼。
「…はぁ。娘よすまない。彼にはだいぶ世話になってるものでな、少し我儘に付き合ってくれないだろうか?」
ため息を吐きながらそう言葉を発する国王は、まるでこの男の親のようだ。
というか魔力がない奴からの補充の方法を、きっと国王は知らないだろう。
ユーリは表情を青ざめさせると、視線を彷徨わせて動揺していた。
補充ってどの方法だ!?どの方法も私にとっては勘弁して欲しいんだが!?
ユーリは目の前に立つ金髪イケメンから注がれる視線に、顔を引きつらせた。