第2章 中編
火の礼拝堂に行って数週間後、今度は水の礼拝堂へ向かうことになった。
今度の礼拝堂もある国が管理しているようで、先ほどローが面倒くさそうにため息を吐いていた。
そして今回の国は国王が収めているようで、前回と同様、すんなりと国王との謁見まで話を進めることが出来た。
因みに城についてからローも表に出てきてくれてる。
相変わらず萎縮しているユーリを気遣ったのか、暇だったのか、気まぐれかは分からないがありがたかった。
「…そうか、話は分かった」
目の前の玉座に座る国王はだいぶ年を取っているようだったが、ユーリの言葉をしっかりと聞き入れてくれた。
その事に安堵のため息を漏らすユーリ。
前回のように揉める気配がないのは良かった。
「では、礼拝堂への手配を…」
「ちょっと待って」
直ぐに礼拝堂への手配を指示してくれようとした国王に、ストップの声がかかる。
仮にも国王なのにその言葉を遮る人物って一体…
どこからともなく聞こえてきた声にユーリが辺りを見渡していると、突然国王の隣に男が現れた。
「…なんだ」
隣に現れた金髪のイケメンに、国王は特段動じる様子もなく言葉の続きを促した。
「あの礼拝堂ってうちでも管理が出来ない程厄介な場所にあるでしょ?ただで行かせるのはなぁ…」
「…はぁ、何が言いたいんだ」
国王相手なのに、ため口で更に意見まで言っているこの男。
ユーリが一体どういうことだとソワソワしていると、ローがあいつも霊だと教えてくれた。
なるほど、国王も杖を持っているのか。
漸く納得できたユーリは、興味深そうに2人の様子を伺っていた。