第2章 中編
ローとユーリは礼拝堂から魔法学校へと戻ると、既に深夜を回っていた。
途中ローがある程度魔物を倒しながら進んでいたから仕方ない。
ユーリは自室に戻ると少し痛む首筋に触れながらベットの淵に座った。
「…まだ痛むのか?」
そんなユーリの様子を見ていたローが、珍しく気遣うような言葉を言った。
ユーリは一瞬茫然としたが、もう大丈夫だと笑って伝えると、ローが少しだけ険しい表情で何かを考えているようだった。
「…あ、そうだ。ローは何か欲しいものや、やりたいことはないの?」
ユーリは考え込んでいるローの言葉を待っていたのだが、何時までも口を開く気配がないので先に聞きたいことを聞くことにした。
「…それは、どういう意味だ?」
ユーリの言葉に怪訝な表情をするロー。
ユーリは苦笑しながら、ローが眠りに付くまでに色々出来ること、やりたいことがあれば遠慮なく言って欲しい旨を伝えた。
その言葉に、再び難しい表情を作ったロー。
因みに時間帯にして深夜なのだが、先ほどの戦闘の影響かまだ眠くはなかった。
そして暫く沈黙が続いた後、ローが昔記念コインを集めていたと言った。
「記念コインかぁ~。…うん、考えてみるね!」
珍しくローから情報を聞けたユーリは嬉しくなり笑顔でそう答えた。
「…おまえは、この先自分自身がどうなるのか考えたことないのか?」
ローの為に尽くそうとするユーリ。
そんな彼女の姿を見ていると、なぜだろうか…このままでは駄目なような気がした。
もし、彼女に情でも持つことになれば…
「どうなるって、どうかなるんですか?」
ローの言葉に首を傾げるユーリ。
過去英霊に選ばれた者が辿った末路の記録は一切残っていない。
だからそんなユーリの反応はあたりまえなのだが、ローはそっとため息を吐いた。