• テキストサイズ

英霊の刀【ONE PIECE 】

第2章 中編



「それならば私の魔力を貰ってください。私の血筋は代々…」

「いらねぇ。こいつだけで十分だ」

王女の提案を、言葉を遮って断るとローは再び歩き始めた。

それをどこか納得の出来ない表情で見ている王女。

ユーリは終始彼女から睨まれていた。


「…おい、着いたぞ」

そしてユーリは漸く降ろされると、目の前に祭壇のようなものがあった。

着いたと言って降ろされたが、どうすればいいんだ。

本当に祈るフリだけでいいのか?

ユーリが困った表情でローを見るが、彼は相変わらずの反応だ。

だから仕方なく悶々と考え込んでいたのが、突然祭壇から赤い炎が上がった。

「…え?」

ユーリは突然のことに驚き一歩後ずさったが、背後にはローがいるので叶わなかった。

そして炎はやがて一つの丸い形になり、ユーリの中へと吸い込まれていった。

「……っ!」

突然走った胸の痛みに思わずユーリの身体がふらついたが、ローが支えてくれた。

「…これで契約が1つ完了した」

ローはユーリの首筋にある魔法陣を撫でながらそう言った。

ユーリからは見えないが、魔法陣の一部に赤い色が宿ったのだろう。


ローはまだ痛がっているユーリを再び抱え込むと、能力を発動した。


「…帰り道の魔物はある程度片づけてやるが、死にたくないなら早く城に戻れ」


ローはそれだけ言うと、その場から消え去った。



その様子を唖然とした表情で見ていた王女や護衛の人たち。

だがすぐに慌ただしくなり、急いで城に戻ることになった。




「……あの女…」


周りが慌ただしく動いている中、王女の声が静かに響き渡っていた。

それはまるで、ユーリの存在を妬んでいる声色だった。




/ 124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp