第2章 中編
「何時まで座り込んでるんだ、さっさと行くぞ」
そしてローはユーリの目の前に立つと、その身体を抱き上げて礼拝堂へ向かった。
ユーリは驚いたような声を上げて自分で歩けると言ったが、ローは聞いてるのか聞いてないのか降ろしてくれなかった。
ローは先ほどの口づけで、ユーリの身体が動かないのが分かっていた。
何しろ前回以上に、彼女から力を貰ったのだから。
ユーリから得られた力を感じ、すぐに終わると思っていたが、まさか刀一振りで倒せるとは思ってなかった。
その事実にローも軽く驚き、改めてユーリから得られる生気に興味を持ち始めていた。
「…あ、あなた達は、何をしているのですか!?」
そしてすっかり存在を忘れられていた王女。
ユーリとローが礼拝堂の中に入ると、漸く2人に追いついたのか何やら怒っているようだった。
「何のことだ」
ローはうんざりとした表情で王女へ視線を向けると、先ほどの口づけのことを言われた。
「こいつには魔力がない。だからその代わりに生気を貰っている」
その方法があれだ。
淡々と話しているローだが、ユーリはいたたまれない気持ちになりその場から逃走したかった。
しかし彼女はまだ彼の腕の中に抱かれており、更には力もあまり入らない。
ローと王女で何やら言い合っているのを聞き流しながら、ユーリは勘弁してくれよと思っていた。
どうも恋人同士でもないのにそれはどうなんだとか言われてるようだが、それは私も思っている。
だけどこれしか補充の方法がないと彼が言うのだから仕方ない。
だから許してくれ。
ユーリはローの機嫌がどんどん急降下していくのを感じ、早くこの場を終息させねばと回らない頭で必死に考えていた。