第2章 中編
「…おまえも離れてろ」
そしてどれくらい時間が経ったのか、漸くユーリは解放された。
「ROOM」
息を荒げているユーリを、能力を使い少し離れた場所へ移動させた。
序でにその他の人間も離れた場所へ追いやった。
そしてローは刀を構えると、堂々とドラゴンの正面へ向かっていった。
ユーリは息が整い始めると、始めて見るローの能力を興味深そうに見ていた。
青く光っている膜のような空間。
ユーリ達はその空間に入ってないが、あの中で一体何が始まろうとしているのか。
そしてローの存在に気づいたドラゴンは、大きな唸り声を上げながら襲ってくる。
ローはそんな魔物の様子を鼻で笑うと、刀を一振りした。
「……え?」
ユーリはそんな様子を息を呑んで見守っていたが、目の前に広がった光景に思わず驚きの声をあげた。
ローは実際に魔物を斬ったわけではない。
だが、ローが刀を一振りしただけで魔物は真っ二つになっていた。
しかし、まだ生きているのか僅かに動いている。
その不思議な光景を見ていると、青い膜のようなものが解除された。
その瞬間、魔物から噴き出る大量の血。
彼の能力が解除されると、魔物は一瞬にして絶命していた。
(…すごい)
今までローが戦ってるところは何度も見てきたが、今回のような戦い方は初めて見た。
一体どうなってるのか変わらないが、これが彼の本来の力なのだろう。
あの巨大なドラゴンを一瞬で仕留めた彼は、まさに英霊と呼ばれるだけのことはある。
ユーリはこちらへ向かってくるローをぼんやりと見ながら、改めて彼の強さを純粋にすごいと思っていた。