第2章 中編
王女の同行が決まり、城内が慌ただしくなって1時間後。
漸く王女とその護衛付きで礼拝堂へ行けることになった。
ユーリは目の前を歩いている、ローと王女をぼんやり眺めながら歩いていた。
王女はローの腕に自らの腕を絡ませて何やら楽しそうに話している。
ローの後ろ姿しか見えないので彼の表情は分からないが、恐らくいつも通りなのだろう。
寧ろあのローが大人しく王女の好きにさせてるのが珍しいかもしれない。
人との接触を好まないロー。
一応、王女と言う事もあり仕方なく対応しているのだろうか。
ローにも誰かを気遣う一面があったんだなと、そんな失礼なことをユーリは考えていた。
ローと過ごし始めて数か月。
彼の性格はだいたい把握できたと思う。
ユーリは苦笑すると、少し王女を羨ましく思いながら2人の後をついて行った。
傍から見れば立派な美男美女のカップルだ。
私よりも王女の英霊として現れれば、彼ももっといい待遇が受けれたのかもしれない。
ローが望むならば、王女様なら何でも用意することができるだろう。
ユーリはそっとため息を吐いた。
所詮私が出来ることなど、たいしたことはない。
出来る範囲のことは全てやるが、貧困育ちのユーリには限度がある。
といっても、ローから何かが欲しい、したい等言われることはほとんどなかった。
もしかしたら物欲等があまりないのかもしれないが、ユーリとしては彼が眠りに付く前に色々してあげたかったので、何かあれば遠慮なく言って欲しかった。
(…今度その辺りを話し合ってみるか)
ユーリは目の前の2人を見ながら、そう考えていた。