第1章 前編
ローから3つの選択肢を与えられ、ユーリはかなり悩んでいた。
キスもしたことなかったのに性行為まで選択肢に入っているとは。
いっその事、違う契約者に変えてくれればいいものを、まだその気はないらしい。
「…血を吸い取るでお願いします」
ユーリは悩んだ結果、その方法を選んだ。
一瞬ローはドラキュラの一種なのかとも思ったが、血というか主に噛んだ場所から生気を吸い取るから違うのだろう。
「…言っておくが、それなりにに痛いと思うぞ」
なぜだろうか。
ユーリが選択肢を選んだ瞬間、舌打ちが聞こえたような気がした。
まさか彼は、血を飲む以外の方法が良かったのだろうか?
いや確かにこんなイケメンからの誘いと断る理由など、咄嗟に思いつかないが如何せん心臓に悪い。
というか色々恥ずかしくて無理なので、そこは勘弁して欲しかった。
別にローが嫌いとかそういうのではないのだが、まだユーリの心の整理が出来てなかった。
もしかして、キスか性行為の方が魔力を吸い取る効率があがるのだろうか。
それならば考え直したほうがいいのだろうか。
ユーリはグルグルと考え込んでいた。
そしてユーリは一応どの方法が一番効率いいか聞いてみた。
すると、血を飲むよりキスか性行為の方が効率は良いという返事が返ってきた。
「……ローは私なんかとキスをして嫌じゃないの?」
そうだ、これを言いたかったんだ。
彼はどう思ってるのだろうか。
「…別にどうでもいい。魔力さえ補充できればいいからな」
「…さようですか」
どうやら彼はやり方は血を飲む以外がいいと、暗に示しているようだった。
仮に契約者としても所詮は赤の他人で恋人同士ではない。
なのにどうでもいいとは、イケメンの考えていることはよく分からなかった。
ユーリはそっとため息を吐いた。
何という事だ、これだと私の心臓が持たないぞ。
キスだとすると、どれくらいの頻度ですることになるんだ?
取り合えず3か月は持ったみたいだから、3か月に1回でいいのか?
それならなんとか耐えれそうだが。
というかキスの方が効率がいいだけで、痛みさえ私が我慢できれば血を飲む方でいいんじゃないか?
ユーリはローに一度、そのまま血を飲んでくれと頼んでみることにした。