第1章 前編
ローが先に口づけたのは、彼女の身体を麻痺させるためだ。
麻痺と言っても快楽で支配するような感じなのだが。
そして血を貰い、その場所から生気を吸い取る。
彼女は痛みを心配していたので先に口づけをしたまでだ。
だが、実際には口づけだけでもローの体内に凄まじい魔力が流れてくる感覚がしていた。
だから、そこでやめても良かったが、どうしても血の方も試したかった。
そして噛みついた結果、やはり凄まじい魔力と、感じたことのない旨味と快楽をローに与えた。
(…これは、やばいな)
ローは頭に手を当ててため息を吐いた。
正直彼女の生気の味は、極上のものだった。
このままだと、病みつきになるのも時間の問題だろう。
まだそうなると決まった訳ではないが、何となく彼は察していた。
因みに生気を吸い取る方法はもう一つある。
「生気を吸い取る方法は全部で3つあるんだが、お前はどれがいいんだ?」
ローはユーリに選択権を委ねることにした。
キスか、血を吸い上げるか、そして性行為か。
そう、最後の1つの方法は性行為なのだ。
キスと血だけであれだけの旨味と魔力を得られたのだから、性行為だと計り知れない程のものだろう。
勿論試してみたい気持ちもあるが、あくまで主導権は契約主に委ねることにした。
そしてその話を聞いて物凄く考え込んでいるユーリ。
それもそうだろう、好きでもない男からたった3つしかない選択肢から選べと迫られてるのだから。
そういえばこいつには好きな人物でもいたのだろうか。
今更遅いかもしれないが、その考えが一瞬ローの頭を過った。
一応さり気なく聞いてみると、それはいないらしい。
ならば、後は彼女の好きにさせることにした。