第1章 前編
「…魔力の補充だが、おまえは何をされても平気か?」
ローは暫く黙り込んでいたのだが、漸く話す気になったのかユーリへと視線を送った。
「何をされてもって…命を取られたりするんですか?」
「んなわけねぇだろ」
「じゃぁ痛かったりしますか?」
「…あぁー、それは極力どうにかするが」
命は取られないと言う言葉に、ホッと胸をなでおろすユーリ。
そして痛みもそこまで心配ないのなら、彼女にはもう迷いはなかった。
「それなら私は大丈夫です。やり方を教えてください」
ユーリは真っすぐとローを見つめた。
その視線にローはため息を吐くと、彼女の肩に手をかけた。
今までこの方法を取ったことは、過去数回しかない。
それも、契約者が女だった時に無理やり頼まれてやったものだ。
正直この方法で得られる魔力は不味かった記憶しかないのであまりしたくなかった。
だが、そうも言ってられない。
何時までも魔力を補充しない状態が続くと、本当にローもユーリも何時か死んでしまう。
ローは覚悟を決めた。
「…お前の生気を貰う。痛くしねぇようにするから、おまえは大人しくおれのすることに従ってろ」
「え、生気を貰うってどういう…」
ユーリがもう少し詳しくローに話を聞こうとした時、強い力で身体を引き寄せられた。
そして頬に手を添えられたかと思うと、唇に感じた暖かい感覚。
「……っ!」
ユーリはローにキスをされていた。
一瞬驚いて抵抗を見せようとしたユーリだが、ローに抑え込まれているのでどうしようもできない。
そして口内を割って差し込まれた舌。
ユーリの舌に絡ませられたそれに、ゾクリとしたものを感じた。
(…なに…これ…)
ローから口づけられた瞬間から、身体が火照るように熱くて仕方ない。
そして熱で浮かされたように、思考回路が回らない。
「…っふ…」
まるで全身が性感帯になったかのように、感じる快楽。
たったキスだけなのに、私はこんなの知らない。
ユーリは全身を駆け巡る快楽に、ただじっと耐えていた。