• テキストサイズ

英霊の刀【ONE PIECE 】

第1章 前編



そして更に1か月が経った。

やはりローの調子はあまり良くないようだった。
一緒に同行している彼女達は気づいていないだろうが、ユーリだけは分かっていた。

分かってはいるが、どうすることもできない自分自身が嫌で仕方なかった。
私は何のためにあの学校へ通っていたのだ。
落ちこぼれなのは分かっていたが、完全な役立たずではないか。


ユーリは目の前で戦っているローを見ながら、握りしめていた手に力を込めた。

あの日以降、ユーリへの死の宣告はまだされてない。
そして、魔力の補充の仕方も教えてくれない。

相変わらずまともに会話をしない日々だけが過ぎて行く。

このままで本当に大丈夫なのか?

それはローの心配と、いつ来るか分からない闇の魔物との戦いのことについてだ。

ユーリは正直無力だ。
そして英霊のローを使いこなせるどころか、力すら与えることができない。

私がここにいる意味は一体何なのか。

ユーリは戦いが終わったのか、こちらへ歩いてくるローをぼんやりと見ながら色々考え込んでいた。

何も出来ない自分自身が悔しくて仕方ない。

本当は彼と一緒に戦いたい。

他の生徒達は、杖に宿る魂に完全に戦いを任せている者もいるが、ほとんどの者は一緒に戦っていると聞く。

その方がお互いの信頼関係も築けるし、シンクロ率も上がりやすいらしい。

だがしかし、ユーリはローと信頼関係などまったく築けていない。
彼が何を考えてるかまるで分らないし、ローも私のことなんて何も知らないだろう。

もしかしたら興味なんてないのだろうか。

ユーリは同行してきた女性たちに囲まれているローを見ながら、そっとため息を吐いた。







/ 124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp