第1章 前編
そしてユーリとローが依頼を受け始めて一か月が経った。
その間倒した魔物の数は測り切れない。
相変わらずローの力は凄かった。
刀一本で全ての魔物を薙ぎ払う。
彼が苦戦しているところなど、一度も見たことがなかった。
現に、さっき目の前に現れた魔物の群れを、いとも簡単に始末している。
そんな姿をぼんやりと見ていたユーリだが、背後から黄色い声援が聞こえてきて思わずため息を吐いた。
ここ最近、ユーリの依頼に同行したいという者が何人か現れたのだ。
先生も止めてくれればいいのに、実戦を見れる機会は中々ないから普通に承諾していた。
もちろん同行したいと言ったのは全て女性達だ。
ようは実践を見て色々学びたいという名目で、ローを活躍を見たいだけのようだ。
彼女達は魔物が全ていなくなると、ローに近づいて何やら色々話を聞いている。
もちろんローは相変わらずで、完全に無視すると鞘に勝手に戻っていくのだが。
ユーリは手元に戻ってきた刀に視線を向け、彼女達に視線を向けると、何だか睨まれていた。
まぁこれも毎度同じことなのだが。
そして色々嫌味を言われる。
ユーリは適当に聞き流しながら、今回頼まれた依頼は全て終わったので魔法学校へ戻ることにした。
勿論彼女達も戻るので、一緒に行動しなければならないのだが。
ユーリは勘弁してくれよとため息を吐くと、今回ついてきた彼女たちの中に移動魔法が使える人がいたようなので、勝手に帰ってくれた。
どうせなら一緒に連れて行ってくれよと思ったが、そんなことはしないのは分かっている。
取り合えず1人になれただけでもありがたかったので、ユーリは重い足取りで魔法学校へ戻っていったのだった。