第3章 後編
「因みに答えはYESしか受付ねぇ」
ユーリのリアクションは、正直予想外だった。
ローはまさかの断られる雰囲気に、先に釘を刺しておくことにした。
「な、なるほど」
確かに先ほどのセリフに、疑問符のようなものは見えなかった。
ならばこれは決定事項なのか。
再びブツブツと考え込んでいるユーリ。
…なるほど、じゃねぇよ
ローは思わず内心でそう突っ込んだ。
自慢じゃないが、断られる可能性は全く考えていなかったロー。
だからこれはもう強硬手段に出るしかねぇのかと、その考えが脳裏を過った。
「…わ、私も」
ローが強硬手段に出ようとした時、漸くユーリが口を開いた。
「…答えは、YESしか…ない…です」
「………はぁ、だったら早く言えよ」
ユーリの回答に、漸く安堵のため息を漏らしたロー。
そして彼女の手にさっさと指輪をはめると、そのまま彼女を引っ張った。
「うわっ!?」
ローから引っ張られ、いとも簡単に体制を崩したユーリ。
そんなユーリを支えることなど簡単なはずなのに、わざとなのかローと仲良く砂浜の上に倒れ込むことになった。
ユーリはローを下敷きにしてしまったと、慌てて起き上がろうとするが、背中に回された手によってそれはできなかった。
抱きしめられるように回された腕。
ユーリの頬は、彼の胸元にぴったりとくっついていた。
そこから聞こえてくるのは、静かな心音。
あの時、冷たい身体から聞こえなかった音だ。
ユーリは聞きたかったその音に、再び涙を浮かべた。