第3章 後編
「…わぁ!!すごい綺麗!!」
ローと移動すること1日、ユーリが連れて来られたのは美しい海だった。
エメラルドグリーンとマリンブルーが入り混じるその海は、本当に綺麗なもので思わずユーリは駆け寄り、その景色を楽しんでいた。
ローはユーリの願いを覚えてくれていたのだ。
そのことが嬉しくて、ユーリの表情は自然と綻ぶ。
そしてローも、そんなユーリを見て口元に笑みを浮かべていた。
「…ユーリ」
ローは暫く彼女の好きにさせていたが、頃合いを見て呼んだ。
ローに呼ばれて素直に近寄ってくるユーリ。
「…あの時貰ったコインの礼、まだだったからな」
ローがそう言ったかと思うと、突然ユーリの前に跪いた。
長身の彼が跪いたところで、目線は余り変わらない。
ユーリはローの突然の行動に、キョトンとした様子だった。
そんなユーリにローは苦笑を漏らすが、すぐに真剣そうな表情になる。
「…ユーリ、おまえを愛している。あそこを卒業したら、おれと結婚してくれないか」
「…っへ?」
ローに手を取られたかと思うと、彼の手には指輪が乗せられていた。
「…チョット、イミガワカリマセン」
ユーリは己の頭脳のキャパシティを完全に超えた。
もちろんユーリだって、ローのことが好きだった。
だけど余りの急な展開に、頭が追い付かなかったのだ。
「…あ゛ぁ?」
だがそれも、目の前で不機嫌オーラ全開にしている、元英霊様の前では許されなかった。
ユーリはこれはまずいと思い、必死で己の気持ちを整理していったのだった。