第3章 後編
ユーリがルフィに連れてこられたのは、森の奥深くだった。
聞いた話によると、どこの国も管理できない場所があるらしい。
暫く話しながら進むこと数日、漸く目的の場所に辿り着いた。
目の前に広がるのは、破壊された巨大な施設。
そして、どこの国も管理できない理由がすぐに分かった。
「…ユーリ、大丈夫か?」
ユーリは突然の吐き気に襲われて、思わずその場に立ち止まった。
ルフィから聞かされた汚染された魔力。
それがこの施設に充満しているらしい。
…なるほど、だから誰も立ち寄れないのか。
ユーリは魔力によって自分の身を守ると、ルフィへと視線を送る。
ルフィが来れるのは、ここまでらしい。
だからローがどこで眠っているのかは分からないが、恐らく地下深いところだと彼は言っていた。
「…大丈夫です。後は私に任せてください」
ユーリは笑顔でそう答えると、気を引き締めた。
汚染された魔力がどのくらい危険なものかは分からないが、施設の周りにあったと思われる植物はみな枯れて、動物や魔物の死骸が至る所に散らばっていた。
なぜ魔力が汚染されたのかと言うと、ローが初めて目を覚ました時に施設を破壊したせいで、実験に使われていたあらゆる物質が垂れ流しになってしまった。
そして月日が経つにつれて、近寄れば死ぬほどのものになったのだ。
ユーリは未だに心配しているルフィに再度大丈夫と伝えると、施設の敷地内へと足を踏み入れた。