第1章 アネモネの夢00~50
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今朝、仲良い同期から嫌な知らせが入って思わず悲鳴を上げてしまった。
すぐに雹牙さんが来てくれて、説明のしようがなく携帯の画面を見せる。
『藍羽、気を付けなよ! 昨日藍羽が帰った後、あいつ藍羽がよく話してる同僚に休日どこ行ってそうかとか聞いてたから』
恐怖よりは困惑が近い心境で雹牙さんを見れば、眉間に皺を寄せて画面を睨んでる。
それはそうだよねー。これ、ストーカー予備軍の行動だよ。やだなぁ……マンション知ってる同期はこのメッセ送ってきた子だけだから、総務で住所調べられてたり後付けられてなければ大丈夫だと思うけど。
「なんで私なんかに執着するんでしょうか? ほぼ話した事もないし……。何より、彼が声を掛けてくるようになったの、市ちゃんからのアドバイスでお化粧変えてからなんですよね」
気持ち悪くて無意識に雹牙さんの袖をつまんでいて、雹牙さんがその手を掬って握ってくれてようやく気付いた。
慌てて手を引こうとしたけど、きゅって握られて顔が熱くなる。
うぅ、恥ずかしい……。でも、こんなの見たら流石に今日は出掛けたくなくて、家にあるDVDとか録画したまま見れてない番組とかを見たりまったり過ごすことになった。
「明日からは仕事中は大丈夫みたいだが、迎えに行くから課から出るな」
「うぅ、迷惑掛けてごめんなさい」
「前にも言ったが、迷惑なら最初からせん気にするな」
「……ありがとうございます」
グリグリと撫でられて、安心して肩から力を抜くと目を閉じて撫でられる。
すりっとこれも無意識に擦り寄ってしまったら、更に撫でられた。
それから朝ごはんを食べて、家事をして、お昼ごはんを食べてからは鑑賞会になった。朝ごはんと昼ごはんの間に雹牙さんがお菓子作ってくれたのですが、何その女子力。
おやつと飲み物をスタンバイしてソファに並んで座って友達から勧められたDVDをセットして再生する。