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アネモネの夢

第1章 アネモネの夢00~50


「雹牙さん、料理上手……」
「百合もするんだろう?」
「しますけど、市ちゃんみたいに凝ったことはめったにしないですよー。一人だと沢山食べれないから、凝った物作ろうと思うと食べきれなくって」
「そうなのか」
「はい。あ、そうだ。ご飯、朝とお弁当は私が作ります」

促されて席に着き、いただきますと断ってから思い出して先に宣言する。三食おやつ付きは凄く美味しいけど、美味しいけど! 自分の家だし、私のせいでお泊りさせてるし、それくらいはさせてほしいなぁ……と思ってじぃっと見てたら肩を竦められた。
了承してくれたのかイマイチ判んないけど、ダメとも言われないから良いのかな。
念のため寝る前にもう一度言おうと思ってから美味しいご飯に舌鼓を打つ。美味しい! 誰かに作って貰うご飯は美味しいけど、腕も確かだね!
それから寝る場所とか、食器とか、諸々のことを話したら明日は買い物に出ることになった。丁度お休みだし、足りない物や一週間分の二人の食糧買いに行くのにちょうどいいから。
それで、私は雹牙さんに先にお風呂を勧めて慌ててクローゼットを漁ってます。織田家でお世話になってる時とか、市ちゃんとデートした時は一応年相応に見えるように寝化粧とかしたし、洋服も気を使ったんです。
明日は全くのオフデス……どうしよう……。

「うーん……」
「百合?」
「っ?! ひゃいっ!」
「どうした?」
「あ、えと、何でもないです。ちょっと考え事してて、びっくりして」
「そうか。先に頂いた。お前も入れ」
「はーい」

ノックの音にも気づかなかったけど、雹牙さんは紳士です。扉開けずに声掛けてくれました。思わず裏返った声もあんまり気にしてないみたいで、ホッとしながらクローゼットを見る。
時々、私には似合わないって言われることがあるんだけど、思い切って好きな服着てみようかな。雹牙さんと一緒なら、別に頑張って大人ぶる必要ないよね?
しばし考え、扉を振り返り、もう一度クローゼットを見ると明日着る物を決めてからそれを閉じた。パジャマを持って部屋を出ると、お風呂に入って、その後はソファでテレビを見ながら会話してる間に今日の怖さを思い出すこともなく寝落ちたらしい。気付いたら朝で、雹牙さんが運んでくれたらしくベッドの上だった。
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