第1章 アネモネの夢00~50
明日また顔を出すのは不自然か?次はいつ顔を出せばいいのかカレンダーをめくり、考えていると。お市様は明日、自分が会いたいからと赴けばいいねと笑い、差し入れにお菓子を作ろうと台所で何かを作り始めた。
ずっと傍に居る訳でも無し、俺が定期的に様子を見るのは決定事項か。ストーカーって言わないか?これ。
「さっきLINEきて近くのスイーツ情報交換したんだよね」
「お市様、ただ藍羽に会いたいだけじゃ?」
「脅威もきちんと足音立てて来てるので一石二鳥?」
「脅威がついでか」
成らばと、一瞬で忍装束に着替えてから少し藍羽の周辺を探るか。
先程食事した近辺も捜査しようと家を出ると宵闇に紛れて都会の街並みに消えてった雹牙をふふっと市は微笑みながら見送った。
「姫様は何を視たのです?」
「んー」
黒羽に聞かれた事はいまいち説明しにくくて
あの百合の花のような彼女の周辺に、変な男性と毒々しいガスの様なものが漂っていたの。それが危ない物だと、それしか伝えられなくて。
困った様に笑えば黒羽に頭を撫でられる。
「私も雹牙と行って参ります、昴はここで姫様と一緒に居てください」
「了解」
一緒に食器を片付けていた昴も頷く、市は今日は戻ってこないであろう2人の忍の去った方をぼうっと眺めていた。