第1章 アネモネの夢00~50
「何食べに行くんです?」
「居酒屋、ラーメン、蕎麦、フレンチ、イタリアン、他にも選択肢があるが?」
「美味しい居酒屋が良いです」
「最近評判の良いチェーン店が出来ている、個室で結構美味いものが食えるぞ」
「やったぁ」
嬉しそうに笑う百合の頭を撫でると猫の様に目を閉じるので、遠慮なしに撫でるとくすくすと笑われる。
お前も面倒事が絶えないなと苦笑いすると、困ったように眉をハの字にさせるのでさっさと飯食いに行くか。
「あれ、今日は車じゃないんですか?」
「今日は黒羽に押し付けた。飲むつもりだからな」
腕を差し出せばきょとんとした顔で見られたが、何の意図があるか察したのか手を添えたので2人で歩いて繁華街に向かった。
「最近は市ちゃんと晴久君どうですか?」
「…俺に聞くか?」
「その反応、付き合い始めたんですね」
「告白はあの夜にしたみたいだがな。だから順番が違うんじゃないかと問いたい」
「完璧にパパさんな思考ですよそれ」
「言うな、酔いたくなる」
「酔わない体質だって聞きましたけど」
「くっそ、黒羽の奴」
少し凶悪な顔だけどイケメンだと眼福なんですよねと言われたが、こいつは何にでも眼福と言って喜ぶのかと少し問いたい。