第1章 アネモネの夢00~50
雹牙さんからの返事に、誰かと一緒に出たのかとホッとしたのもつかの間ラインがそのまま既読無視状態になって私はジリジリとした焦り始める。
どうして返事がないの? 一緒に家は出たけど途中で分かれたとか、そういうことなんだろうか?
もし迷子や途中の買い物で手間取っているなら、私は家から動けない。
『市は途中で買い物をすると言って分かれたらしい。今日は誰もついていない』
『マジか! 早く探さなきゃ危ねぇんじゃ!』
『……私は自宅待機しています。もしかしたら、電車とか遅延で来れてないのかもしれないので。市ちゃんの携帯、この間失くした時に便利だからとGPS追跡アプリ入れたんです。電源が入っているなら、私の携帯で追えます!』
数分もかからなかったはずの雹牙さんからの返事に、血の気が引いていくのを感じながらもなんとか冷静さを保つと自分がどうするかを伝える。
お茶会の時に携帯を失くして大変だった話になって偶然GPS追跡アプリについて話、設定をしたところだったのを思い出しそれも追記すると雹牙さんがこちらに来るとラインを飛ばしてグループから出て行った。
晴久君もこちらに来るらしく、私は市ちゃんの無事を祈りながらただ待つしか出来ないことに歯噛みした。