第1章 アネモネの夢00~50
「ほら」
「ん?」
手を出して来た晴久に一瞬驚いたけど、私も手を伸ばせば手を握ってくれた。手繋いでるんですが妙に気恥ずかしいもので、思わず俯いてしまった私の顔はきっと赤い。
動物見ないのか?と問われて思い切り肩が跳ねたけど、うん、動物見ましょう、私何の為に来たんだ。本当。
鳥類、海の動物、哺乳類、一通り歩いて見終わったあとで、触れ合い広場なる場所を見つけて入るとぴょこぴょこと兎が足元にくっ付いて来て凄く可愛い。
兎を慎重に抱き上げて、売っていたエサをあげてみればもぐもぐと食べてくれていて身もだえてるとクスクスと笑い声が聞こえたと同時にパシャっと、あああ、晴久のスマホの写真機能か!
「いやあ、良い眺めだな」
「晴久、この子可愛い」
「ああ、どっちも可愛い」
「ちょ…」
急にストレートな感想は照れます、全力で。顔を赤くして兎の背に顔を埋め、いつも通りに優しくて恥ずかしい。
抱っこしてた兎を降ろし、傍に居た動物の背を撫でているうちに気付いたら小動物に囲まれていて足元を二度見した。えーん、晴久へるぷみーーー!
「動物に好かれやすいなぁ、市は」
「ここまでとは、侮っておりました」
ほら、と手を差し出してくれたので掴むと、ぐいーっと引っ張って貰って、脱出しました。小動物可愛いけど!囲まれると怖かったです。
「飲み物何が良い?」
「あ、お茶で」
「了解」
ベンチに座って休憩すれば、まだ少し涼しい風がふいて目を閉じて涼んでいれば、唇に柔らかな感触と抱き締められる感覚に目を開ける
晴久が悪戯成功したみたいな顔してるけど、私は現状を理解してただただ顔を赤くして手で顔を覆った。
ばかーあほー、ずるいいいい