第1章 アネモネの夢00~50
「おい、市」
「ん?晴久珍しいね。こっちに来るの」
「信長公に呼ばれてよ」
織田の社内を移動していた市はたまたま来ていた晴久に呼び止められた。兄さまから用事かと納得すれば最近変な事は起きてないかと心配されて首を傾げる。
「竹中から変な探偵にストーカーされてるって聞いたぞ」
「ああー、偶に写真送られてくるんだよね」
「まさか覗きとか隠し撮りか?」
「隠し撮りだけど綺麗な写真だったよ?ほら、スイパラ行った時のも貰ったけどデスクに飾ってる」
「阿呆」
「あてっ」
テコピンされた額を押さえながらぶうぶう抗議する市に晴久は苦笑いで、信長公のとこに行ってくるわとスタスタと去って行く背中を見ながら。市は一体何しに来たんだろうと首を傾げる。
ああ、写真大丈夫かって?もしホントに覗き写真来たら検分する光秀が回収するので私の目に入りませんったら。
今のとこ被写体私だけど飾ってもイケるくらい綺麗なものなんですよ?
まあ、それ見せて「飾ってる」って言ったら流石に雹牙にもデコピンされたけど。竹中さまは腹抱えて笑っておりましたとも。
今日は帰りに百合ちゃんのとこ寄って一緒に帰ろうかな。
雹牙に「寂しい?」って聞いた私ですが、私の方こそ寂しがってるとか、言ったら呆れられるから今日は歩いて帰ろう。