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アネモネの夢

第1章 アネモネの夢00~50


27

ふと、一瞬だけ目を離した隙に百合が攫われてしまい影護衛をしていた黒羽は急いで電話を百合に掛けるが反応がない。意識が無い状況だろうかと推測しながら後を追う
建物の上を駆けながら市に電話を掛けると傍に雹牙がいる様で、途中でスマホを取り上げたのだろう思い切り怒鳴られた

「姫様申し訳ありません、藍羽さんが拉致されました。はい、今後を追っています」
『この馬鹿!!お前が付いていながら!』
「お説教は後でじっくり聞きますので!」

私が今居る場所に急いで来て下さい。そう言いながら鷹を放てば黒羽の居る上空を旋回させて居場所を伝えた。電話の向こうで鷹が見えたのか「直ぐ行く」と言って通話を切られて思わず冷や汗が噴き出る。
姫様のご友人を暴漢に攫われるなんて、この失態、如何な罰が待って居るのでしょう。っていうか雹牙に本気で追いかけられそうです。

建物の上を飛び移り、鷹を確認しながら暫く追っていると市の郊外に出て車が停まった。
寂れたマンションの中に女と、ぐったりしてる百合を抱えた男が入って行き急いで地上に降り尾行をして部屋を突き止める。

身を隠し気配を絶ったまま部屋に近付いて耳をすます。百合があの状態なら目が覚めるまで少し時間がかかるだろうと踏んで一旦マンションの屋上で外から部屋の位置を確認すると簡単に破れそうだなと侵入経路を特定した。

百合の元彼を追うサラ金に連絡を取り、本人を見つけましたよと報告をすると直ぐに来れるらしい。その後警察に連絡をし、織田と親しい上層部に話を持って行けば急いで来ると言う。
男女の処分はこれでいいだろうと電話を切って隣を見れば、己の鷹を肩に乗せ、目を瞑って佇む雹牙ににこりと微笑んだ。

「相変わらず手際が良い事だ」
「おや、怒らないんですか?」
「…後で覚えてろ」

気配のする部屋のベランダに降り、部屋の中の様子を探るがカーテンが閉め切られていて見るのは困難。気配は2人。
ぼそぼそと聞こえる会話は主犯の2人のもので百合の声ではない。

「突入するか?」
「状況がまるで分かりませんね、元彼の男は藍羽さんをどうしたいのでしょう」
「同期の女は恐らく嫉妬だろうがな」
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