第1章 アネモネの夢00~50
「いつまでご迷惑お掛けすれば良いんでしょうか。なんか、市ちゃんにまで発展しちゃったし」
「お前のせいじゃないから気にするな」
「でも……」
ここまで長引いた上に色々予想外の物が重なり過ぎて、申し訳なく思って言えばやっぱり頭を撫でられた。
確かに私のせいではないのかもしれないけど、自分を振った男やその恋人にこんなに執着されるとは思わないし。
まぁ、振られたからって傷付いたのは私の女として持ってたなけなしのプライドであって、恋心は微塵もなかったのは助かったけどこんなにイケメン様たちに囲まれるとそれすら馬鹿らしかったと思わざるを得ない。
それはさておき、ほんと世の中の一部の人は理解に苦しむ。
お金とか生活に必要な分プラス多少遊べるだけあったらそれで良いのになぁ……。
「おい、藍羽。お前これから一週間は一人で行動するなよ?」
「え? 社内でもですか?」
「ああ、出来れば社内でも必ず信用出来る奴と行動しろ」
「うーん……頑張りますけど、業務内容上難しい場合は怒らないでくださいよ?」
「それは仕方ないが、防犯ブザーかなんか持ち歩いとけ」
「はーい」
織田の家に着いて玄関先で、唐突に言われた内容に困惑しながらも頷くと雹牙さんに促されて中に入った。
それがあのカミソリが入っていた手紙に関係しているとは、全く気付かないまま……。