第1章 アネモネの夢00~50
「社長?どうしました?」
「藍羽君、麗しの姫君が来るみたいだから、対応をここに任せても良いか?」
「麗しの…あ、市ちゃんか。珍しいですね」
「昼飯時と重なると思うから一緒に食ってやってくれ」
「雹牙さん、了解です」
では俺達は少し出掛けてくる、と百合に声を掛け秘書課を出て社長室に戻って行った。
「市ちゃん来るのかー」
お昼どこで食べようかな、今日も友人達と食べる約束をしてるから一緒に食べて大丈夫かな
「おや?松本社長と雹牙は?」
「黒羽さんおかえりなさい。少し出て行かれましたよ」
「ありがとうございます、追ってみますね」
ぴょこっと、黒羽の陰から顔を出した市に気が付いて、百合はにっこり笑って対応しようと試みたが
瞬間、思い切り抱き付かれて会社の中で思い切り目立ってしまったとか。
お昼になれば市に興味を示した友人達が集まって市に質問攻めしたりとか。
お弁当も市の手作りだとか、またこの前と同じ内容でお昼食べてる気がすると苦笑いを浮かべた。
1人、欲望に目をギラつかせ、市に取り入ろうとする女も混ざっているが、皆、今日はとくに気にならなかったらしい。
市は1人だけ、自分を嫌な目で見る者がいるなと、表情を変えずに弁当のご飯を口に放り込んだ。