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アネモネの夢

第1章 アネモネの夢00~50


19

藍羽の会社の社長、中小企業だが割とやり手だと評判の松本は竹中と同じくらいの年齢らしいがこの男も外見詐欺だな。
黒い髪は真ん中で分けられていて顔立ちは割と男前。
この男目当てで秘書課を狙う女もいるみたいだが、目敏いこの社長は裏表の無い、金に興味のない者を秘書として雇ってるだけあって人を見る目が良いとこは竹中そっくりだ。

「うん、雹牙君も黒羽君も流石に優秀だな、このプランで進めていいと思うよ」
「そうしよう、手数を掛けたな煌鴉殿」
「いや、2人ともよく来てくれたから助かった。ところで…」

松本社長の表情が笑顔からすっと真剣なものに変わる、藍羽の事だがと口にする顔はまるで妹の心配をする兄の様な顔で。一応藍羽の件に俺達が関わる事になったのを報告したのは正解だっただろう。

「黒幕の目星はついてるんだが、どうもウチの営業課の者らしくてな」
「ああ、あの女か。確か他の会社の営業の男とつるんでいるな」
「雹牙殿は周知だったか」
「最近俺と黒羽に異様に色目を使って来る。正直鬱陶しいんだがな」
「私達が興味ないと突き返せば鬼の様な目で見られましたね」

最近その女は藍羽の側で見かける事が多い。
藍羽に問えば仲の良い同僚でもないと返ってきたので何を考えてるのか。目的があったとしても碌な事ではないだろう

松本も優秀な秘書が害されるのは困ると苦笑いするが、この男は底知れぬ得体の知れなさがあるので俺達も社内でのトラブルを起こさない様にしてはいる

スマホの着信音が響いて、何かと開けばお市様が此方に来ていいかと。おい、何の用で来る気だ。

「お市様からかい?」
「煌鴉殿、妹が来ていいかと」
「構わないよ、ここは信長公の傘下の会社だ。トップの妹君が来れば仕事も捗る」
「では、雹牙、煌鴉殿。私が迎えに行って参ります」

黒羽がレクサスのキーを片手に駐車場に向かって行くのを、残った2人で見送って、お市様が来るなら藍羽の居る秘書課に移動しようか。松本社長は鼻歌を歌いつつ、雹牙と秘書課に向かった

今のまま、藍羽を陥れようとしてる女を首にしてもきっと罰にもなりはしない。
此方に手を出したら酷い目に遭うと認識させねば首にしたとこで何の変化もない。
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