第1章 アネモネの夢00~50
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あー……朝からこの眼福加減、ほんとに私の男運含めた幸運は今が最高値だと思える。
そんな私は朝とは違い昼休みの今、仲の良い同期に囲まれてます。
「ちょっと! 百合ってば、この間あんなこと言ってたのにどういうことよ!」
すごい勢いで詰め寄ってくる同期に苦笑しながら、肩を竦めてみせたら好奇心丸出しで更に迫ってくる。
でも、昼休みは待ってくれないので出来ればご飯を食べたい。
「いやぁ……私もなにがなんだか。とりあえず、市ちゃんのお弁当食べていい?」
「ナニソレ」
「うん、それは食べながら話そう。ご飯買っといでよ」
「あんたってブレないねー! 買ってくるから、ちょっと待ってて!」
素直に気持ちを伝えれば、呆れた顔で笑った同期がさっと身を翻して食堂のご飯を買いに行く。
それを見送って開いたお弁当はいつも自分で作るのより彩りもバランスも素晴らしい。
美味しそうだからさっそく食べようと手を合わせたところで、同期が戻ってきてお弁当を覗き込んで絶句していた。
まぁ、そうなるよねー。私も自分のためにはここまで作らないから、気持ちはわかるよ、うん。
「ナニソレ……」
「織田市様お手製のお弁当です」
「はぁ?! どういうことよ!!」
「うーん、それがさ。なんか性質が悪いの引っ掛けたらしくって、たまたま市ちゃんとお出掛けした時にパパラッチにあってさ」
「うん、まずはその織田市様との出会いから聞こうか?」
にっこり笑顔で凄まれたけど、まぁ、全部詳しく言うにはちょっとメンバーが悪いかな。
でも、何も言わないのも無理だから、当たり障りのないこと言っておくか。
自宅に居ない事はいう必要ないだろうから、それ以外かな?
周囲のメンバーの顔を見渡して、仲の良い人に混じってあまり親しくない人を見つけたので私だって色々考えますよ。
ん? もしかしてこれって雹牙さんに報告すべき?
ちょっと考えつつも昼休みは割と平和に過ぎた。
自分の課へ戻る途中、お泊りもし合う仲の同期に声を掛けて休憩室に立ち寄ると周囲を見渡してから誰も居ない事を確認して更に頭を寄せてこそっと聞いてみた。