第1章 アネモネの夢00~50
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雹牙から盗撮写真の報告を受け、お休みの日を見計らって単身で百合ちゃんの家に突撃しました。黒羽と雹牙は別のお仕事でっす。
「百合ちゃん!竹中さまの調査が終わって平和になるまでうちに泊まろうか!」
「市ちゃん市ちゃん、それ決定事項の言い方だよね?」
まあ、ジャレてこんな会話してるけど事前にLINEで許可は取ってます。着換えは定期的に取りに来るとして、仕事で使うノーパソ持った、データ、資料持った。忘れ物無いかな?
「市ちゃんのご家族の方本当にいいの?」
「兄さまも義姉さまも事情伝えたからOK貰えたよ?」
「はっ!信長公に帰蝶さん!?」
「百合ちゃん気付くの遅い」
他の家人は黒羽、雹牙、昴だけだし。男所帯だけど我慢してね。そう言って荷物を持つのを手伝えば百合ちゃんが震えてるけど大丈夫?
憧れの帰蝶さんと信長公の家にお邪魔する!?と軽くパニクってました。うん、気にせず家に向かおうか。
マンションの管理人さんにストーカー対策で友人の家にお泊りと伝えてあるし、管理人さんも理解ある方だったので「早く解決するといいね」と見送って下さいました。
「ところで、市ちゃん1人?雹牙さん辺りが一緒に来ると思ってたんだけど」
「…」
痛いとこ突かれてしまい笑って誤魔化せば、何かを察したのか百合ちゃんの顔が引き攣っていく。まさか…黙って来たの?と問われ、こくこくと頷くと雹牙さんに怒られるー!!と
いや、雹牙は仕事だし?バレなきゃ大丈夫だと、2人で顔を青くして笑っていれば背後からがしりと頭を捕まれた。まさか。
「雹牙はとっくにご存じですよ?市。夜に叱られて下さいね」
「…はーい」
何で黒羽が居るのかな?近くに来たからついでに捕まえに来た?そんなあ。
「藍羽さんお久しぶりですね、織田黒羽です。むさ苦しい我が家ですがのんびりして行って下さい」
「あ、はい」
「んきゃー、黒羽ギブギブギブ」
ギリギリとアイアンクローを決められている間に百合ちゃんと黒羽の会話は終了。
ごめんなさいと涙目で謝っているとやっと手が離れて、にっこり笑顔の黒羽にビクビクしつつ帰宅する事になりました。えーん怖い。