第2章 アネモネの夢51~99
「んっ、くすぐったい」
「そうか」
触れる箇所が頬や顎に移動して、首筋にもキスされてそのくすぐったさに首を竦めて言えば頷いた雹牙が私を抱き上げる。
視線が入れ替わって私が見下ろす形になる。ほんとのほんとに、こんなに素敵な人が旦那様になったのかぁ……。
「ね、雹牙」
「なんだ?」
「ほんとに私で良かったの?」
「それは俺の台詞だな」
入籍もして、結婚式もして、お披露目もしちゃったから逃げられないけど、だからこそ不安になる。
もっと素適な、雹牙に似合いの人が居たんじゃないかなぁって。私みたいに理解出来ないってうっちゃったりしないで、ちゃんと理解してあげられる人。
そう思ったら聞かずにいられなかったけど、聞いたら逆に聞き返されちゃった。
でも、私の答えは決まってる。
「もちろん、雹牙以上の人なんてきっとこの先絶対居ない」
「なら、信じろ。俺も同じだ」
「うん」
頷いたのとベッドに辿り着いたのは同じくらいで、優しくシーツの上に降ろされると覆い被さってくる雹牙を受け止める。
お互いに口付けて求め合いながら、一つずつ隠していたもの全部剥がしていって。
あんなに緊張したのに、恥ずかしくて仕方なかったのに、始まったら嬉しいと幸せがいっぱいでちょっと泣けちゃった。
「今日は覚悟しておけ」
「う?」
「寝かせてやらん」
「え……わっ、ちょっ?!」
嵐が過ぎたと思って甘やかな腕の中でうとうとしてたのに、そんな柔らかな時間は長くは続かなくて私はセーブするのをやめた雹牙に良いだけ貪られた。
漸く嵐から開放されたのは日も高くなった頃で、私は力尽きちゃったけど次に目が覚めた時には優しい腕の中で幸せ気分でたっぷり甘やかして貰いました!
だって動けないんだもん! 雹牙のばかぁ!