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アネモネの夢

第2章 アネモネの夢51~99


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二次会のような宴会のような、とりあえず食事会が終わって予約していたホテルのスイートルームに到着です。
淡々としてるように努めてるけど私、凄い緊張してる。どうしよう……初めてじゃないのに、なんか凄くくすぐったいって言うか恥ずかしいって言うか!

「百合?」
「あっ、やっ、待ってっ!?」
「はっ?」

うああぁっ! 全身、全身絶対赤い! 一緒に部屋に入ったのに、徐々に歩みが遅くなった私を心配した雹牙が振り返って近づこうとするのを思わず止めたら、物凄く訝しげな声をあげられたけどどうしようもない。
自分でもどうしてこんなに恥ずかしいのか判らなくて、だんだん混乱が増してきてる。どうしよう、泣きそう。そう思った瞬間にふんわりと暖かいものに包まれて、馴染んだ香りが鼻腔を擽った。
反射的に閉じていた目を開けると目の前には雹牙のタキシードが見えて、私もドレスを着たままだったから当たり前なんだけど顔を上げるとじっと見下ろしてきてる視線と合う。
それだけでドクンと心臓が跳ねる。いつもと違ってセットした髪が長時間そのままだったせいで少しだけ崩れてきてる。

「落ち着いたか?」

無意識に手を伸ばしてそっと崩れていた部分を直すように撫でると、視線が一気に柔らかくなって色が付いたみたいに錯覚する。
でも、不思議と気持ちは落ち着いて、こっくり頷くと頭を撫でられて気持ちよさにうっとりする。
撫でる手がだんだん下に降りてきて、頬を撫でるから私からも頬を寄せると手の動きが止まって顎を攫われる。
促されるままに顔を上げると、雹牙の顔が近づいてきてそっと唇が触れてくる。
ちゅっと小さなリップ音がして軽いキスが繰り返される。
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