第2章 アネモネの夢51~99
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招待状出したり、事務手続きしたり、色々してたらあっという間にチャペル当日になってました。
ドレスは背中側をコルセットみたいにリボンで締めるタイプなので、微調整はそれで済むのがとても楽です。
エステとかも通わせてもらっちゃったりしたからお肌ぴかぴか! ぷるるんって自分でも触って気持ち良いとかエステ凄い。
お引越しはまだだけど、今日はこのチャペルの後に親族と私の親しい友人も混ぜて貰って二次会的なお食事会して、豪華ホテルですって。
「新郎様がお見えですが……」
「あ、はい。入って貰ってください」
良いんですか? ってそんな目で見ないでください。チャペルでは普通新郎と会えるのはお式の時だって知ってますが、それよりかっこいい雹牙を他の人より先に見たいんです。
応対に出てくれたスタッフさんが雹牙を中に促して出て行った。お式の時間十分前に来ますねって、何? 何してると思われるんだろう。
雹牙も不思議そうな顔をしながらも頷いて、私の少し手前で足を止めると目を細める。お化粧までフル装備なのは初めて見せるから、なんかちょっと恥ずかしくて俯いてもじもじっとしたら名前を呼ばれた。
雹牙が#なまえ#って呼ぶ時の声、実は凄い好き……。そっと視線を上げたら雹牙が滅多に見ない綺麗な笑顔で私を見てて、近づいてくる。
そこで漸く雹牙が紙袋を手に持っているのに気付いて、私忘れ物したかなと首を傾げた。
「百合、足出せ」
「うぇ?」
私のすぐそばまで来た雹牙が、足元に跪いて持っていた紙袋から箱を出しながら言う。何事かと思いつつもう靴を履いているので足を少しだけドレスから出して見せたら履いていた靴のストラップを外されて、裸足にされた足を持ち上げられた。降ろされたのは雹牙の脚の上で、驚いて固まってたら箱から真っ白でレースで作った華飾りがちりばめられた靴が出てきた。
ヒール高さは十センチくらいでさっき脱がされた靴とほぼ同じ高さの物。なんでそんな物が出てくるのかと声を失くしていたら、見上げた雹牙がしてやったりとした顔をしたからドレス選びの時から計画してたに違いない。
そっと持ち上げられて、新品の靴が履かされるけどそれは凄いぴったりで。