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アネモネの夢

第1章 アネモネの夢00~50


08

市さんが家に来てから早数日、出来るだけ一日最低一度は市さんに連絡を入れるようになった。
何でか? あんなに美人が寂しがっていると言われたら、それくらいの努力は惜しまずにせざるを得ない。
それはさておき、その中で市さんと呼ぶのを禁止と言われてしまったので呼び方を市ちゃんに変更することとなりました、ハイ。

『市ちゃん、市ちゃん、これ打込みながら市さん、市さんって言ってるんだけどどうしたら』
『直してください』
『うぅ……頑張りますorz』

今日は残業がほどほどで済んだので夕飯の材料を買いながら、ラインで市さん改め市ちゃんへコメントを送る。
なかなか慣れない呼び方を本人に愚痴ればさん漬けに戻して貰えるかと思ったら大間違いでした。へにょんと耳が垂れた猫のスタンプを押したら、可愛いの文字が返ってきました。
癒されたいので私のスタンプは基本的に動物で癒し系のふんわりスタンプが揃ってます。たまにネタもあるけどね!
夕飯をどうしようと考えていたら市ちゃんからまたラインが飛んできた、次のお休みはいつ? という問い掛けにうーんと唸ってしまう。
冷蔵庫の中身を思い出しつつ買い足した材料を会計し、スーパーを出ながらポチポチと返事を返す。

『えーっと、多分次の日曜日は完全に丸一日オフです。土曜日は半日出勤しないと行けなくて、平日はお休みないので』
『じゃあ、その日曜日を市にください』
『???』

きょとーんとしたウサギのスタンプを送ると、にこにこと笑顔の黒猫スタンプが返ってきた。黒猫は市ちゃんらしいけれど、意図がさっぱりわかりません。
とりあえず日曜日は空けておけばいいのかなと思って了解のスタンプを押すと、漸く自宅のマンションに着いたので鍵を出して自室まで上がっていく。
自室に辿り着くとまず最初に郵便受けから持ってきた郵便を仕分けする。いくつかダイレクトメールもあって、友人や海外のペンパルからの手紙も入っていた。
その中に一通、何も書いていない真っ白な封筒が混じっていて、なんだこれ? と首を傾げた。触ってみるけど特に硬い物は入っていないから盗聴の類ではないらしい。
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