第1章 アネモネの夢00~50
「あ、晴久からメールきた」
「相変わらず仲が良いな」
「大学行ってからあんま連絡とれなかったんだけどね、最近また元就や晴久と出かけるよ?」
「また家に遊びに来るようになるのか?」
「うん、また来るよ。市嬉しくって」
俺に恋愛云々言うの良いがお市様は自分の恋愛に疎いからな。あの2人がまた戻って来たのなら少しは進展するだろう
上に圧し掛かってくるお市様も今世では安泰…いや、今まで恋愛経験は皆無だろうからまだまだか。
比べて、黒羽はな…あいつも早く嫁を貰えというのに。やはり俺と同じ考えでお市様が相手を見つけない限り動かんだろうな。
はぁーと、深い溜め息を吐きながら、背伸びをすれば上に乗っかっていたお市様が横に転がった。そもそもだな、年頃の娘が兄とは言え男の部屋に気軽に入ってくるんじゃない。
「明日、百合ちゃんの会社に用事あるんでしょ?」
「暫くはあそこの社長に用事があるな」
「百合ちゃんに宜しくね」
「…お市様の命もあるしな、飯には連れていこうかとは思う」
「そのまま落としちゃえ」
「おい」
だからどうしてそっちの方向に話を持って行こうとするんだお前達は。暫く藍羽は護衛だというのに。
…否、俺達が何も無いからそういう方向に発展したがるのだろう。お市様は今は離れて仕事をする我々に少し寂しい思いをしているのかもしれない。