第2章 アネモネの夢51~99
見計らったのか店のギャルソンがにこりと微笑みながら何かを持って来て。ケーキ?
「おめでとうございます織田様。当店からです」
「あ、ああ」
戸惑いながら、受け取れば慣れない店からのサプライズに百合に笑われたが。絶品だと嬉しそうに食べる百合を見て、ああ、慣れない事だったが思い切って行動して良かったと胸を撫で下ろした。
…表情筋を動かし過ぎたのか若干顔が引き攣る。我ながら不愛想過ぎなのもどうかと思う
帰ってから、次の休みの日、百合の両親に挨拶に行くかと提案すれば。こくこくと頷き。
「あ、雹牙、丹波さんは?」
百合の泣き腫らした目を冷やしている最中に出てきた名前に。思わず壁にめり込む勢いでぶつかった。