第2章 アネモネの夢51~99
思わず問い返してしまった。自分をその力で襲ってくるわけでもない、雹牙さん自身が制御できる力の何を怖がる必要があるんだろう?
反対側にこてんと首を傾げて見れば、僅かに目を見開いた雹牙さんに襲われた。うん、ベッドに押し倒されて美味しく頂かれました。いや、美味しかったかは知らないけど、そもそもどうしてこうなった。
お互い落ち着いて、ベッドの中でうとうとしながらも頑張って起きようとしてたら寝ろって言われておでこと頭のてっぺんにキスされた。
ぎゅって抱き寄せられて全身が包まれるみたいに抱っこされて、安心したらそれ以上は意識を保っていられなくておやすみなさいって言えたかも怪しい……。
朝は朝で、あったかい腕の中が気持ち良くて無自覚に擦り寄ってまどろんだ。髪を梳いてくれる手とか、すごく気持ちいいんだけど雹牙さんっていつ寝てるんだろう。
私が先に寝ちゃっても全部やってから寝てるはずで、でも私より遅く起きることって一緒に寝てたらまずないんだよねぇ……。
「百合、そろそろ起きろ」
「ん、ぅ……ひょーがさん、おはよ……」
つらつら考えてた割に、身体も頭も全く起きてなくて雹牙さんに揺り起こされて漸くゆるゆると瞼が上げれた。にこりと笑って朝の挨拶を口にして、ぼうっとしてると朝恒例のキスを頂いてる間に漸く意識がはっきりとしてくる。
はたと我に返ると恥ずかしいんだけど、そろそろ慣れちゃって顔は熱くなるけど慌てて逃げないのでもう一度ぎゅっとされてから二人でベッドを出るのもいつも通りです。
着替えて、準備して、今日は一人で出勤なので早めに家を出ますよ。しかし、うーん、今から家の手配するのかな? 引っ越し、いつでも出来るように荷物整理だけはちゃんとしとこっと。
そうして私は今日も上機嫌で一日を過ごして、会社でもサクサクと仕事を進めるので皆におちょくられるいつも通りの日常を過ごしました、マル。