第2章 アネモネの夢51~99
「雹牙さん、大満足です! 帰りましょう?」
「は?」
「ん? ここの水族館、定期的に来たくなるんです。来れて満足だから、今度は家で二人でまったりしたいです」
ダメ? と首を傾げて聞いたら、なんか顔に手を置かれて俯かれた……。なんで?
小さな吐息の後に顔を上げた雹牙さんが、それならそれで帰る前にお茶をしていこうと誘われて最近出来たばかりのケーキ屋さんで美味しいケーキと紅茶を頂いてお土産を買ってから家に帰った。
部屋着のトレーナー生地のワンピースに着替えて雹牙さんの部屋に行ったら、お膝抱っこで映画見たり、イチャイチャしたりまったりくつろぎタイムに突入です。
「雹牙さん、何気に引っ付くの好き?」
「そうか?」
「だって、二人だとこうやって抱っこしてくれたり、ぎゅって頻繁にしてくれるよ?」
「嫌か?」
「んーん、嬉しい」
「そうか」
前から思ってたけど、市ちゃんの影響なのか雹牙さんはスキンシップに抵抗がない。
両手差し出したら抱っこしてくれるし、腕に擦り寄ったら抱き寄せてくれる。
傍にいる時は無自覚に髪を撫でてくれるし、目を閉じるとキスもくれる。
「雹牙さん、好き」
返事の代わりにもらうキスは凄く甘くて、実は後日誕生日パーティーに私の両親を呼ぶか迷ってたって言われて驚いたけど凄く嬉しかった。
私が順番とか色々、実は気にしいだってバレてるみたいでやめたらしいです。
ずっと傍に居られるといいなぁ……。