• テキストサイズ

アネモネの夢

第2章 アネモネの夢51~99


86

後輩の入院状況を昴君から聞くという、奇妙な状況ではあったけど後輩からかわいいわんこというタイトルでメールが届いて思わず吹きました。
昴君、何してるの。添付写真は可愛い顔で笑う昴君と知らない女の子で、後輩の説明によると後輩と同室の子らしいです。うん、まぁ、出会いがあったみたいだなぁ、と見守る体制です。
後輩が、私の出会いはどこですかって言ってきたから頑張れって返しといた。

「百合、準備出来たか?」
「うん! 今行きます!」

見ていた携帯をしまって部屋を出ると、私を見た雹牙さんの目が柔らかく笑む。表情が動かないって思ってたけど、こうしてみると結構目の表情が違う。
手を差し出されて取ると、何の気概もなくエスコートされるのがくすぐったい。幸せ気分で歩いているのは雹牙さんが隣に居るからっていうのもあるけど、今日は市ちゃんデザインの服でトータルコーディネートしているせいもある。
誕生日の後の最初のデートで市ちゃんの手掛けるブランドのショップに行って、森ガールにも普通の服でも使える鞄とか靴も買ったのだ。
ウキウキしているのがつい足取りにも出て、雹牙さんが隣でクスリと笑う。ちなみに、今日の行き先は都心にある水族館です。
ビルの最上階にあるその水族館は、イルカやシャチは居ないけどすごく綺麗で見ていて飽きない。偶に一人で見に行ったりしていた独身時代、まさかこんなに美丈夫な彼氏様と一緒に行けるとは……。

「楽しそうだな」
「うん、雹牙さんと一緒だから嬉しくて楽しい」

電車で移動して、水族館に入ってからもずっと浮かれて雹牙さんの腕にじゃれついている私に、不思議そうな照れたような感情が入り混じった表情で呟く。
雹牙さん的には慣れない感情とか、環境なんだと分かってるから私はただ笑ってるだけだ。楽しくないなら考えないといけないけど、そういうわけでもないみたいだから。
ラッコとアシカのショーを見て、餌やりも人数制限があるのにもう予約してあったのはびっくりです。
雹牙さんを見たら、お前は好きだろうって返ってきたからあらかじめ狙ってたんですね、ありがとうございます。
ニコニコで餌やり体験したら、素敵な彼氏ですねって言われたからはいって全力で頷いといた。
/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp