第2章 アネモネの夢51~99
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今日は私の誕生日です。昨日の夜、雹牙さんが日付変わる前に来てくれて、変わった瞬間におめでとう言って貰えた。そのまま部屋に戻るのかと思ったら一緒に寝てくれたのでぬくぬくの腕の中で幸せな起床でした。
着替えてご飯食べて、市ちゃんのお手伝いして片付け終わったらデートです。どっか高い所とか、特別なところじゃなくてごくごく普通のウィンドウショッピング。
雹牙さんと手を繋いでのんびり歩いて、公園とか散歩でも良いかなぁって言ったら安上がりだって言われたけど、そういうのも好きだから良いじゃんね。
服も好きなの着ても笑われないから、すごくうれしくて安心。お化粧して、バッグに必要な物詰めて、雹牙さんに手を引かれて家を出たら携帯が鳴った。
「誰だろ?」
繋いだ手を一旦放して鞄から携帯を出すと、通知はメールで開いたら母さんからだった。しかも、もうすぐ駅に着くから来てねってなんだ!
思わずむすっとした表情をしたら上から眺めてた雹牙さんがひょいっと携帯の画面を覗き込んできて、僅かに目を見開いてた。
うん、まぁ、こうなるよねー。知ってる。うちの母さんって時々突拍子もない行動に出る。これは間違いなく今日一日雹牙さんと居るって予想してて、本当に彼氏なのか探りに来たんだと思う。
「雹牙さん、行っても良い?」
「それは、構わないが……」
「多分だけど、送った市ちゃんと雹牙さんの写真見て現実味がなさ過ぎたんだと思う」
「どういう意味だ」
あ、眉間にしわが寄った。そのままの意味ですが、私がお付き合いするには美人さんなんですよ、二人とも。少なくとも母さんはそういう認識です。
説明した所で多分理解とか納得は出来ないと思うので、雹牙さんが嫌じゃなければ彼氏ですって紹介させて貰おうと思う。
そう伝えたら、嫌なわけがないと言われて私の顔は赤くなりつつも嬉しくって緩みっぱなしです。だってね、親に彼氏紹介するってさ、その先もあるかもしれないじゃない?
「うふふ……」
「なんだ」
「嬉しいなって。じゃ、行こう? もしかしたら、暫く母さんに付き合わないとかもだけど」
「構わん」
「うん、ありがと」