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アネモネの夢

第2章 アネモネの夢51~99


力強く頷かれて、漸く心の奥に残ってた不安も溶けだしていく。
即答だったから大丈夫。今の私が怖いのはこの腕がなくなることかなぁ……。
ぼうっと雹牙さんの胸に耳を当てて心音を聞いてたら、腰に回ってた腕が外れて背中を撫でてくる。
顔を上げたら雹牙さんが見下ろしてて、目を閉じると唇や瞼、頬に柔らかくて少しカサついたモノが優しく触れて離れる。

「雹牙さん、好き……」
「ん……」

なんとなく言いたくなって言ったら、頭を撫でていた手が後頭部を支えて触れていたモノが唇を啄んでくる。
そのまま甘いキスをされて、離れるのが寂しくて添い寝してって甘えてしまった。
翌朝はいつもよりずっと早く目が覚めて、自分の甘えた加減が恥ずかしくなって早々に腕から抜け出そうと思ったのに、抱き込まれて起床時間までずっと甘やかされた。
おかげで不安なんて欠片も残ってなくて、約束の日までの残りの日はせっかくだからと歴史のお勉強を続けつつ上機嫌に過ごした。
会社で社長から同僚、果ては違う課にいる同期たちにまでなんかいい事があったのかと聞かれて大いに困った。
まさか、存分に甘やかされてなんて惚気は流石に口では言えない。
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