第2章 アネモネの夢51~99
ゆったりとした朝を過ごして、ホテルの部屋で誰に呼ばれることもない二人きりを楽しんだ後、雹牙さんが夜、市ちゃんたちと合流する予定の薪神楽が行われる神社へ向かう途中にある某有名なアニメプロダクションが提供する博物館のチケットを抑えていると言った。
そこに行くぞと言われて漸く出かける準備をすると、ドアの前で手を差し出してくれる雹牙さんの手に指を絡めてホテルを後にする。
「……え、市ちゃん?」
「百合ちゃん!」
「なんだよ、考えることは一緒かよ」
「みたいだな。時間まで一緒か」
博物館の入り口でばったりと市ちゃんと晴久君に会い、喜んで駆け寄った私と市ちゃんを横に苦笑を浮かべてチケットを見せ合う雹牙さんと晴久君に二人で首を傾げて振り返る。
気にするなと手を振られて市ちゃんと顔を見合わせると、お互いに好きな映画のタイトルがあるアニメプロダクションで某バスも再現されているというので手を繋いで中に入った。
雹牙さんと晴久君は文句も言わずに私たち二人を追って博物館へと入ってきて、四人で博物館を楽しんだ。