第2章 アネモネの夢51~99
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普段スーツかっちり着てて遊びなんか興味ないってバリバリ働いてる雹牙が、祭りの為に有休取って浴衣着てます、新鮮。
仕事馬鹿な根っからの堅物忍が百合ちゃんの手腕でメロメロですねーあははは痛い痛い。急にアイアンクローはやめてね。私の考えが手に取る様に理解できて腹が立った?メンゴメンゴ…
「純情堅物忍なのは本当なのに」
「あぁ?」
「地獄耳!」
はいはいと晴久に手を引っ張られて小突かれる、苦笑いであんまり虐めてやるなと言われて。むう、黒羽も良い人見つけたし、少し寂しい気持ちのブラコン妹な心境なのです。
寂しいよーと晴久に抱き付けば頭を撫でられて。がっちり抱き込まれた。あのね、周りの視線が凄く痛いの。
「今日の浴衣可愛いな」
「どうして晴久はそうストレートなの」
「濁したって本人に伝わらなきゃ意味無いだろう?」
「ポエム的に言うと?」
「黙ってろ、砂を食いたくなけりゃ」
「腹筋が死ぬ」
良い笑顔の晴久に両方の頬っぺたむにーって伸ばされて。だってストレートに私を褒めるくせに普段尼語なんだもん。これが俺の世界だと主張する姿をみて百合ちゃんが詩って頭が良くないと書けないよね、凄いねって。
顔を赤くした晴久に顔埋められてぎゅうっと抱き締められた。照れてる、可愛いと思ってたら雹牙の裏拳が晴久に炸裂した。お兄ちゃんセコムは健在ですね。
「晴久、殴られたいのかお前」
「もう殴ってる、風の川と砂の海に沈めや」
「はいはい、喧嘩しない」
今日はお昼から目黒でさんまのお祭りで、夏やお盆は過ぎてるんだけど浴衣着てる人多いですね。私達は普段から着物も浴衣も着てるんで普段着扱いなんですが。
屋台で炭で焼いたのとお刺身を貰って、用意されたテーブルでもりもり。この美味しさで無料はとてもいい文明です。
年々漁獲量減ってるみたいだけど、いずれは食べる機会も減るのかなと残念に思いつつ。