第1章 アネモネの夢00~50
余計な事考えてないでさっさと食え、と促されてお茶に口を付ければ紅茶の風味が口いっぱいに広がった。うん美味しい
そういえば百合ちゃんは兄さまと義姉さまに憧れてるんだっけ?ためになる話を思い出しながら仕事中のお二人を報告すれば嬉しそうに聞いてくれた。
「市、少し外に出て来る」
「散歩?いってらっしゃい」
「雹牙さん、行ってらっしゃい」
女2人に見送られて、雹牙は百合の部屋を出て直ぐに気配を消して外に出て行ったのを市は確認して、恐らく外の、あの嫌な空気をまき散らしてる方に行ったんだなと、市は百合ににこりと笑って話を再開した。
高く聳え立つ建物の上で雹牙は地上にいる男と女、数人を監視しているとどこからか黒羽も己の隣に立った。
「あの者達は以前藍羽さんと付き合ってた男とその女と仲間の様ですね」
「目的は?」
「ふむ、原因は私達なんですよねえ」
「…藍羽の変化か」
「ですね、特に雹牙。決定打は貴方ですよ」
「俺が?」
元カノが自分と別れてから綺麗になった事、自分よりも良い男を捕まえ食事に行っているのを男の女が妬む。最近生意気だから、成らば害してやろうという自分勝手な考え方
「馬鹿だな」
「馬鹿ですね」
あの人数の男を引き連れて何をするかは一目で分かる。今藍羽が傷付けられれば共に居る市も酷く傷つくだろう。下手したら市にも害が及ぶ。
「それだけですか?」
「黒羽?何だその目は。姿を消して散らす」
「はいはい、警察を呼んでおきますので存分に暴れて下さい」
マンション周辺で突然突き飛ばされる男達は、何に殴られたのかも目視できずに翻弄され。警察官の姿を見て直ぐ散って行ったという。