第2章 アネモネの夢51~99
「それ、百合ちゃんが言ったの?」
「ああ、聞き間違いだと思いたかった」
「んー」
俺はお市様の忍だ、反対されてもおかしくない立場なのになと自傷めいていれば「良かったね」と軽く言われて目を見開く。
「百合ちゃん良い子だよ?」
「俺は忍だぞ?」
「時雨さんと言う例」
「…アレは伊達の家庭環境がもたらしたものだろう」
「嫌なの?」
「…っ」
自分の気持ちの整理がつかない。嫌かと聞かれても嫌とは感じなかった。
どうすれば良いのか、俯いて言葉を無くしていれば「逃がした後で、獲物は大きかったと後悔しても遅い」と笑われ。
「百合ちゃんが覚えてたらだけど試しにお付き合いしてみるのもアリかもよ?」
「覚えてなかったら?」
「んー…、取り敢えず一緒に居て雹牙がどうしたいのか、動いてみれば?」
市も恋愛経験無いよ、晴久と一緒に居て幸せですよと笑うがお市様、最初の生ではどうだったんだと聞いて見たら無言で頬を抓られた。思い出したくないらしい。