第2章 アネモネの夢51~99
どう考えても百合の言うまま父親思考だなと少し遠くを見ながら、車に乗り込みさっさと迎えに行こうと咥えてた煙草を箱に戻してエンジンをかけた。
何と言うか、ベロベロに飲まされたなお前。
店に到着し、宴会場に向かえば見慣れた頭を掴んで引き寄せる。
酒に弱かったか?と聞いてから飲み終わったグラスの種類と量を見て、ああ飲まされたんだなと理解。おい松本。ここの保護者は手前だろうが。
自分のネクタイを緩め、同僚らしき女から荷物を受け取り、足がおぼつかないであろう百合を軽々と抱き上げると女どもの視線が突き刺さった。ああ、やはり目立つのかこれは。
さっさと車の助手席に乗せ、シートベルトをかけさせてからエンジンをかけると、意識が寝落ちかけてる百合が意味不明な問いをしてきて、俺がモテたら困るとか言われても俺もどうしようもできないだろ
エンジンを一旦切って、百合の愚痴に付き合う姿勢を取るとボロボロと涙を零し始めたので内心驚いて肩が跳ねた。名前を呼んだが寝惚けているのか?
「……わらひも、すきなのに。ぜったいむりだけどぉ……」
「……」
言うだけ言って、寝落ちしたのを見て。お前それ絶対明日起きたら忘れてるだろ。軽く頭をおさえていれば俺が痛い男に見えるだろうが。
これは流石に…黒羽と昴の耳に入れたくない、全力で茶化される未来が見える。つかお市様にどう報告すればいいんだ?
「この馬鹿」
少し困った様に目を伏せ、額に手を当てて軽く息を吐くと。すうすうと寝息を立てている百合の頭を撫でて、再びエンジンをかけてから帰路についた。