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アネモネの夢

第2章 アネモネの夢51~99


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あのナイトプールから、市ちゃんと晴久君は偶にお泊りなどするようです。
本当に時々だけど、雹牙さんが凹んでるのを見かけるようになった。
なんか、ちょっと可哀想だけど、全体的にはやっぱり市ちゃんが羨ましい。
妹さんに嫉妬とか、どうしようもないくらいみっともないけど気付くと焼いてる。
こんなに揺れ幅大きいなんて知らなかったなぁ……。
しみじみと会社の食堂で自分のお弁当を突いていたら、同期が隣の席にやってきた。

「ね、藍羽。今日飲み会あるんだけど、出てくれない?」
「えぇ? またなんで」
「あんたと飲みたいって人が何人か居てさぁ。あんたは彼氏が居るって言ったんだけど、社内の飲み会くらい良いじゃないかってうるさくって」
「うーん」

お手上げのポーズで言われて、流石になんか申し訳なくなったので携帯を取り出す。
彼氏が誰かについては言及しない。誤解されてるけど、本人は気にしないし行動を鑑みると否定しても照れ隠しだって思われてまともに取り合ってもらえないだろう。
ラインを開いて雹牙さんにメッセージを送る。

『雹牙さんー。今日、どうしてもって同期に飲み会参加頼まれたんですが行っても良いですか?』
『何で俺に聞く?』
『え? なんとなくです。ごめんなさい、自分で決めてお返事します』

やっぱり突っ込まれた。特に理由はなかったの、ただ、市ちゃんの時みたいに心配してくれないかなって。
期待しちゃったけど、案の定な反応でしょんぼりした心のまま顔文字をつけて謝罪する。
暫くして、端的なメッセージが飛んできて三度くらい見直した。

『行くなら終わる時に連絡しろ』
『はーい!』

喜んで踊るウサギとペコペコと頭を下げるわんこのスタンプを連続して送って、えへへと声が漏れると隣から呆れたようなため息が落ちてきた。
見れば友人で、砂はいてます、みたいな表情をして私を見てたけど飲み会オッケーの返事をしたらケロッとして軽い足取りで食堂を出て行った。
そして夜、仕事を切り上げて飲み会予定のお店に行くと、会社の飲み会は既に始まっていた。
私はビールや焼酎なら酔わないけど、日本酒やワインは割と酔いやすい。
だから気を付けていたんだけど、他の課とはいえ上司に捕まっては逃げられない。
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