第2章 アネモネの夢51~99
「わ、ええっと、お兄さんの神楽さんにお世話になりました」
「神楽の言っていた娘か」
元親の背後に隠れて様子を見ていれば、雹牙に何やってんだと頭を撫でられたけれど。
それよりもお姉さま方の視線が凄くて落ち着かないんだなー
わいわいと、元就と元親の休憩時間が終わるまで遊んだり話したり。
もう夜も遅くなったから帰ろうかって話になった時に、むんずと晴久に手を繋がれて首を傾げた。
「市…あのよ」
「なあに?」
ここのホテルの部屋を取ったんだがと言われて目を見開く。顔が熱くなって。ええと晴久それって
「はるひさ?」
「あー、嫌ならいいんだ。そんなビックリした顔すん…市?」
ぎゅうっと、晴久にしがみ付いて、ゆっくり頷くと。目を見開いた晴久は嬉しそうに破顔して抱き締め返してくれた。
晴久とずっと居たいなってスリスリ甘えてるのを。
雹牙は複雑そうに俯いて眉間に皺を僅かに寄せる。
「…パパ、子離れ」
「ほう?」
「ごめんなさいごめんなさい何でもないです」
こらこら、百合ちゃんにアイアンクローしないの。